論 考

内閣不信任案を出さない?

 枝野氏が、まことに不甲斐なく、国政の舵取りが右往左往している菅内閣に対する不信任案を出すかとの問いに、コロナ対策第一であり、仮に不信任案を出せば(いわゆるヤケクソ)解散を誘発する可能性があるから、不信任案は出さないと表明した。筋が通っていると感じた人は少なくないかもしれない。

 そうだろうか?!

 客観的には、第一に、こんな発言はまったく意味がない。不信任案を出しても可決されなければ、別に解散には至らない。野党議席数からは可決の可能性はない。つまり、与党内部が分裂しないかぎり不信任案は可決しない。

 与党内部で解散待望論が強いか? コロナ騒動の展望が暗中模索、五輪(パラリン)もまた、どうなることやらフラフラしている。こんな状態で政局優先の、結果的には「なれあい解散」風になるが、自民党支持者であっても、そんなバカな選択をすれば、自民党に投票するかどうかわかったものではない。

 第二に、すでに衆議院議員任期はそこまで来ている。なにゆえ、任期全うせずして解散する大義があるのか? 英国では、政局に乗じて簡単に解散できないようにしている。人々が投票するのは任期4年をきちんとこなすことが前提である。任期中解散というものは、本来、あってはならない。

 日本の議会政治の程度が劣化しているのは、いつ解散があっても当たり前という心得違いが定着していることでもわかる。要するに、政治家においては、政治をおこなうことではなく、議員ポストを自分が確保できるかどうかにしか関心がないという悪しき心理状態に毒されているわけだ。

 国民諸兄の慧眼を期待する。