論 考

改憲を論ずる資格ありや

 政府与党、とくに自民党には、国民投票法改正案の採決で憲法論議に弾みをつけたいという思惑があるらしいが、心得違いが甚だしい。

 第一に、政府与党には憲法を遵守する姿勢が決定的に欠落している。イデオロギーの問題ではない。約束事を守らない連中に、約束事の大本を変える資格なし。

 第二に、施政にかんする明朗・公正・公開の姿勢の欠落が甚だしい。「赤木ファイル」の公開は、在るものを意図的に隠してきたのであって、サボタージュではなく、悪意の隠蔽、政治的犯罪である。

 さらなる大問題がある。憲法改正論議をおこなうためには、この国の来し方・現状・未来についての定見を確立する必要がある。いまの改憲推進論には、歴史的総括が完全に欠落しており、現状の棚卸をする姿勢もない。つまり、未来を思索する軸足がない。

 さらにさらに、すべての政治家に自重自戒してほしいのは、議会政治そのものに度し難い不信感が高まっていることだ。あえていえば、目下の議員諸氏には、憲法改正を論ずる資格がない。

 そんな暇があるのならば、足下の大事である、コロナ対策を改善してもらいたい。五輪をどうするかという論議も直ちにやるべし。信頼回復第一だ。