論 考

科学的データがもっとほしい

 アフリカ・タンザニアはインド洋に面しており、人口三千数百万で、国土面積は日本の2倍以上ある。

 大統領はジョン・マグフリ氏で、独特のウイルス対策を展開している。いわく、「新型コロナは働かない理由にはならない。経済を破壊する理由にするべきではない」、「国造りを懸命に続けていこう」というわけで、4月17日から19日まで、国民挙げて神に祈れと呼びかけた。同国の感染事情のデータは信ぴょう性がない、当然ながら。

 これ、マスクしていれば安全だと思うのとの距離はたいして違わないという皮肉を言いたいのではない。問題に対して科学的に取り組むか、取り組まないかの違いは決定的に大きいと、わたしは確信する。

 ところで、わが国の場合、日々感染実績に注目が集まっているが、専門家の方々に是非お尋ねしたいのは、なぜ、わが国の感染者数が少ないのか。妙な言い方になるが、「出遅れた」のであれば、欧米のような事態を押さえるために、目下の戦略だけで大丈夫か。

 そうではなくて、「わが国の感染が低い」理由があるのか。数理計量モデルで予測するのもよろしいが、これは前提や基礎データや推論によって決まるものであるから、どこまで行っても推論であるる。

 もう少し、科学的なデータらしきものを公開してもらえないだろうか。たとえば、欧米のウイルスと日本のウイルスは同じなのか、違うのか。火事場の火消し作業だけではなく、科学的研究のアプローチを期待する。