論 考

ウイルス対策が前進しているか、報告せよ

 政府のウイルス対策の知恵袋である専門家! が、早くも「5月6日の緊急事態宣言解除はかなり難しい」とコメントした。専門家に語ってもらわなくても、わたしもそう思う。

 問題は、このコメントが科学的なものかどうか。ここで科学的というのは、さまざまな条件を適当に決めて、算数で感染者数を弾き、感染者数を抑制するという方針について言うのではない。

 感染拡大を可能な限り抑制するという方針は誰でもわかる。しかし、ウイルスは完全に消えるわけではない。そうすると、感染拡大を抑制する時間を使って、ウイルス対策が前進するかどうかが最大の課題である。

 感染拡大が鈍化しても、ウイルスが消えないのだから、科学的に打つ手は、① 大規模な検査能力を備え、② 医療体制を確実に整備することである。とすれば、この方向へいかなる対策を前進させつつあるのか。

 「自粛疲れ」という言葉がすでに登場している。たとえば厄介な仕事に取り組む場合、その仕事の意義を自分が十分に理解していれば、やる気は持続する。しかし、何を何のために自分がやるのかについて理解せず、上司が言うからやっている(やらされている)だけであればやる気は起きない。

 たびたび当局の政策推進について情報公開を求めているのは、1人ひとりが課題を共有し、自分のこととして取り組むためである。「自粛疲れ」という言葉が登場するのは当局の説明が不適切だからである。

 また、厄介な課題であればあるほど、取り組みが前進しているという確信を持つことが大事である。感染者数は連日報道されるが、それはウイルスの活動成果であって、それに対する取り組みがどのように前進しているのかについて、もっと微に入り細に入り報道されねばならない。

 取り組みの前進とは、前述の①②である。それは、5月6日時点で期待した感染抑制がなされていなくても一歩一歩前進していなければならない。