2014/06
皆さん、自分の組合を大切にしてくださいライフビジョン学会





 ライフビジョン学会では2014年5月17日(土)、東京渋谷のオリンピック記念青少年総合センターで第21年度の総会を開催しました。恒例総会学習会では「働き方を考えよう」をテーマに、以下のシンポジウムを行いました。

 ―現場報告1―r
 就職支援活動の現場から  平岡茂富美氏
キャリアコンサルタント

 ―現場報告2―r
 組織労働者の電話相談から 石山浩一氏
UAゼンセン電話相談アドバイザー
社会保険労務士
 
 ―問題提起―r
  派遣という働き方と雇用問題
高見 修氏  NPO法人・人材派遣・請負会社のためのサポートセンター理事長

 全員によるTalk & Talk
全体コーディネーター 奧井禮喜
(有)ライフビジョン代表・労働評論家




平岡茂富美
 私は小学4年の新聞配達を手始めに大人になるまで欠かさず、アルバイトを続けた。大学を出て商社に就職し人事・労務・法務他、様々な職務を担当し、アウトプレースメントの会社でキャリアコンサルタントの実績を積むなど、人事労務の仕事が本業となって45年目である。
 現在は個人で、行政や私立大学などのキャリアコンサルタント、カウンセラーとして、大学や高校に、職業、労働についての出前授業を行っている。




  どのような仕事が理想的だと思うか
  内閣府「国民生活に関する世論調査」
               2013年6月 男女計6,075人
@自分にとって楽しい仕事    59.6%  
A収入が安定している仕事     59.6%   
B専門知識や能力が活かせる仕事 40.1%   
C健康を損なう心配がない仕事  31.3%   
D世の中のためになる仕事    29.1%   
E失業の心配のない仕事     26.5%   
F高い収入が得られる仕事    15.4%  
Gその他orわからない       3.4% 








就職・転職・再就職相談者が希望する職業
ちがさき就職サポートコーナー実績資料より
  相談者計  2012年度 1,573人(100.0%)
            2013年度 1,414人(100.0%)
    2012年度      2013年度
@管理的職業
      13人( 0.8%) 98人( 6.9%)
A専門的・技術的職業
     405人(25.7%) 347人(24.5%)
B事務的職業
      403人(25.6%) 248人(17.5%)
C販売の職業
      154人( 9.8%) 164人(11.6%)
Dサービスの職業
      244人(15.5%) 208人(14.7%)
E保安の職業
      10人( 0.6%) 52人( 3.7%)
F農林漁業の職業
       3人( 0.3%)  10人( 0.7%)
G生産工程の職業
      188人(12.0%) 121人( 8.6%)
H輸送・機械運転の職業
        40人( 2.5%) 29人( 2.1%)
I建設・採掘の職業
        12人( 0.8%) 23人( 1.6%)
J運搬・清掃・包装等の職業
       101人( 6.4%) 114人( 8.1%)


2014年5月17日「働き方を考えよう」

・・・・ライフビジョン学会公開シンポジウム・・・  働┃き┃方┃を┃考┃え┃よ┃う┃報告No1
―現場報告1―r
就職支援活動の現場から

キャリアコンサルタント 平岡茂富美


若年者の労働事情
 労働について話したい。ニーチェは「職業は、生活の背骨である」と言った。最近では大学から進路を考えたのでは遅いとして、中学・高校から公務員だ、弁護士だ、会計士だ、などと目標を決めてまっしぐらに勉強する人たちが増えている。一方で、パスカルは「生涯もっとも大切なことは職業の選択であるが、偶然がそれを決める」と言う。たまたまその会社に、たまたま受かったからと言って、本人の意図に拘わらず、自分の業種・職種が決まっていく。
 以前は、多くの人が、偶然の配材に従って働く中から、仕事の喜びや楽しみを見出してきた。ところが最近は「嫌なことはしなくていい。好きなようにやってよい」と言われて育ち、継続する我慢を見失った若者が増えてきた。彼らが相談者として私のところに足繁く通って来る。
 働く目的は何か、理想の仕事は何かを問うた内閣府の最新調査によると、男女とも「自分にとって楽しい仕事」が6割、この傾向は最近の若年層にはもっと強く7割前後となっている。
 新卒者の離職率は「七五三」ならぬ「六四三」と言われる。これは就職後3年以内の離職率が中卒6割、高卒4割、大卒は3割という意味である。「楽しい仕事でないから辞める」「収入が安定していない」「専門知識が身につかない」「健康を損なう心配がある」という事由で早期の離職が発生している。
 理想の仕事、イコール現実の就職ではない。その中でも働き方をどうするか。ここでも自分が考えている理想・希望と現実に大きなギャップが生じているのが、現在の若者の労働環境である。


「やりたいこと」と「やれること」
 今日の参加者は、大手企業の仕事に従事し、しっかりした労組に加入し、自分の意思を貫いている人たちがほとんどだろう。現在、私が就労相談に関わっている人たちとは生活基盤、学歴、価値観、生活感がかなり異なるであろうことを前提としてお話ししたい。
 私は県・市の自治体やハローワーク(HW)関連部署で就職相談員を10年間続けている。そのうち3年間は横浜のしごと支援センターで、隣町である寿町の生活困窮者、ホームレス、生活保護受給者の相談にも応じてきた。彼らの中には明日、隣の駅まで就職面接に行くためのJRの交通費180円がないという相談もあった。かたや、上場企業を定年退職し、第二の人生の相談をしたいとか、社会貢献の就職をしたいとかの就労相談も増加している。
 就職希望者には能力、適性、興味などのアセスメントを行ない、現在自分の置かれている環境・立ち位置を自己分析・自己理解してもらう。
 @能力・適性・資格、経験・強み=やれること(Can)
 A興味・関心・希望=やりたいこと(Want)
 B価値観・志・使命=やらなければならないこと(Must)、どんなことに生きがいを感じるか
 例えば、@能力とA興味があり、B生きがい・働きがいを感じている。その@ABの3つの輪の重なりがその人の『天職』であり、@とAの2つの輪の重なりが『適職』であると言える。
 最近の大学生は「やりたいこと(Want)」が沢山あるけれども、「やれること(Can)は何か」がなおざりにされている。家庭・学校教育が本人のwantを尊重しすぎていて、マスコミの報ずるブランド企業にインターネットでエントリーする。しかし、そこには「学歴フィルター」が掛けられる。かつて70〜80年代にも「指定校制度」があり、自分の学校がそこに入っていなければ応募できず、たとえ応募できたとしても落とされた。学校名には基礎学力に努力の差が現れていた。今は基礎学力を軽視し、あるいは偏差値の括りを無視した形で、多くの学生が自らの実力以上の企業をめざして応募して、大量のミスマッチを生んでいる。
 エントリーシートでは総合職の中をさらに企画職か、営業職か、人事職かと細分化して、希望職種を募る。バブル崩壊前までは総合職、一般職の2区分であった。今は職種別採用が強まり、職種を大学時代から考えさせてはいるものの、実務を理解していない段階での一時的な進路の絞り込みに過ぎず、ミスマッチに繋がっている。


求職者が希望職種を変更する背景
 厚生労働省の職業11分類を使った茅ケ崎就職サポートコーナーの実績(左下表)では、希望の一番多いのは「A専門職・技術的仕事」である。2013年は2012年より1.2ポイント低下している。就職し直す人が労働条件や生活条件の改善期待から大手企業を希望するけれども、ここ数年は大手も雇用調整をしていて、いくら希望しても就職できない現実がわかってくると進路を変更するので、希望者数が減少傾向となっている。
 二番に多いのが「B事務的仕事」。大手企業の1名採用枠に200-300名もの応募者が殺到する。希望人数は多くても、事務職は派遣、パート、アルバイトなどの非正規社員を採用する傾向が年々強まっているので、希望者が当初の希望を取り下げるため、数字が減少している。
 「Dサービス業」も希望第三位だが、労働条件の劣悪さが目立つ。他の業種・職種に比べると低賃金、長時間労働であり、とくに「ブラック企業」はサービス業界に一番多く見受けられる。
 応募者は「自らの経験を活かせる」としてサービス業をめざす。事務職経験者も、サービス業ならば年を取ってもできそうだと選ぶ。しかし、会社との面接の中で長時間労働やサービス残業、社会保険不加入など労働基準法不在の状況下で働かざるを得ない実態を知り、希望先を変更。
 「@の管理的職業」は減少傾向ではあるが、調査時点は団塊世代が60歳で退職した1-2年目の時期に当たることから、2013年は6.1ポイント上昇している。
 大手企業の定年退職者らは、しばらく充電するとしていったん退職する。ところが3〜6ヵ月ほど経つと社会貢献やボランティアで働きたいとの希望者が増えてくる。収入も減るし、家族から「仕事をしたら・・」とやんわり背中を押されてHWに行く。失業給付が切れた途端に再就職に動き出す傾向があり、中には「以前に経験したことがある管理職をやりたい」と求職活動に取り掛かるものの、「まことに残念ながら」の不採用を繰り返して、失業率を引き上げる。
 アウトプレースメントのカウンセラーやキャリアコンサルタントはまず、「管理職という仕事を目指したのでは100%だめだ」とアドバイスするが、ご本人たちは納得せずに数社応募。書類選考段階で返送される現実に直面して、漸く相談員のアドバイスに耳を傾けるようになって「管理職」の肩書きを削ると面接に残れるようになり、ここでやっと目が覚める。        
  リーマンショック以前は、HWからの紹介者の9割以上が面接を受けていた。今は8〜9割が書類選考の段階で不採用になり、数日後に「応募者多数につき」「今後のご活躍、就職活動のご成功をお祈りしております」という決まり文句の不採用通知あるいは“お祈りメール”が届けられる。なかには、応募企業からの不採用通知すら届かない“サイレントお祈り”というケースや応募書類郵送後の翌日、翌々日にUターン返送されてくるケースなども多々見られる。  
  更に、リーマンショック以前と以後で、履歴書の書き方が大きく変わってきた。履歴書の職歴欄に過去の経験職種を明記して「即戦力」になることをアピールしたり、プラス思考の具体的な退職事由を記述したりするなどの工夫が求められる。従来であれば、「一身上の都合」とか「自己都合」による退職で済んでいた状況が、人間関係や健康上のトラブル、業務上の技能不足やマンネリ化などのマイナス要因による退職と見做されて、書類選考で不採用に至る事態も目立つ。
 最近、マンション管理、ビル設備管理、駐車場・駐輪場等の公共施設管理、清掃、ガードマンなど「E保安」や「J運搬清掃包装」の職業が、60歳以上の就職受け皿になってきている。マンション・ビル管理は「70歳まで雇用保証」との新聞広告もあり、多数の高齢者が殺到する。6ヵ月職業訓練を受ければ、管理士の資格はなくても大手企業へ就職可能。HWによる職業訓練コースでは一番人気で、いまやマンション管理人は、簡単には就職できない職業になっている。
 余談だが、大手マンション管理会社数社にヒヤリングすると、「教えてやる」の中学・高校教師、「貸してやる」の銀行融資係など上から目線の職業経験者は敬遠される一方、子供目線の小学校教師やお客様目線に立つ営業職の経験者は優先採用される、と聞いている。
 これが、最近の転職・再就職市場の実態の一端である。


有効求人倍率、完全失業率の実状
 職業にも時代の変遷がある。私が就職した時代にはシステムエンジニアやプログラマーはなかった。私がアルバイトしていた「沖仲仕」はいま、港湾労働者へと呼称が変わっている。
 日本の労働力人口は年々減っている。2014年4月6544万人が、2030年は推計5584万人(現在比960万人減)、2060年には3796万人(現在比2749万人減)になる。政府が進める女性と高齢者の活用を組み込んでも、推計5407万人分しか出てこない。今より1137万人少ない労働力人口で、高齢社会をどう支えるのか。
 今年3月末の有効求人倍率(有効求人数÷有効求職数) は1.07倍という。これはまやかしの数字≠セと言える。政府は、これまで0.52とか0.65とか言ってきた有効求人倍率が上がったのはアベノミクスの成功だとか、統計上は一人に1社の仕事があるのだから高望みしなければ就職できるのだ、と言う。しかし、実際の求人数は水増しやかさ上げされている。
 第一次安倍内閣時から政府は、HWに営業(求人開拓)担当者を張り付けた。営業担当者は「景気の見通しが不安定な現状では、まだ人を採用できない」と渋る大手の電機メーカー、自動車メーカー等々を回り、「いい人がいれば採用すればよいのだから、求人申込票だけでも出してもらえたら・・」と切願し、有効求人数≠ニして計上する。求人開拓を担当させられたキャリアコンサルタントは、目標数字に追いかけられ「やっていられない」と1−2年で辞めていく。
 完全失業者数は、ハローワークを通して職探しを行なっている人がカウントされている。雇用保険受給者は、失業の基本手当を貰うため4週間に2回以上の求職活動を行なう必要があるのでHWに足を運ぶから完全失業者数≠ニしてカウントされるが、その中でも60歳以上の受給者は所定給付期間が終了するとHWには顔を出さなくなり、失業者数としてはカウントされなくなる。。
 とくに大手企業では、その求人募集を人材ビジネス会社に任せていて、HWでの求人募集は少ない。大手企業を辞めた求職者は、中小・地場企業からの求人案件が中心のHWには自分の希望する案件がないと判断して、HWでの求職活動を諦めてしまう。統計上の完全失業者数≠ヘここでも減少して、完全失業率が改善されたことになり、アベノミクスの成果と喧伝される。これが「有効求人倍率1.07倍」「完全失業率3.6%」の実態である。
 多くの企業が、長引く不況の中でコストカットし、人件費を削り、正社員を削減し、非正規社員で補っていく。今年3月の正社員は3233万人で前年同月比22万人減少し、反比例して非正規社員が1964万人で前年同月比77万人も急増している。とくに、非正規社員の男女構成は、男性632万人、女性1332万人で、非正規社員の2/3は女性が占めている。
 最近は「フル・パート社員」なる呼称が出てきた。勤務時間も仕事内容も責任も正社員と変わらないが、ボーナスが出ない、退職金が出ない、社会保険には入れない、雇用契約は3−6ヵ月更新の繰り返し…。労働条件が正社員と大きく異なっているけれども、求職者はその労働条件を不承不承受け入れざるを得ない状況である。
 

ブラックな働かせ方は犯罪です!
 数日前に二人の元女子学生が相談に来た。昨春卒業した女性はアパレル、広告、不動産業もやっているという有名飲食サービス会社に就職した。彼女は、宅建の勉強をしているので不動産の仕事をしたいと入社したものの飲食部門に回されて、朝8時出社、夜12時退社という過酷な労働を強制され、20名いた同期生は17人が半年で辞めた。本人も心身ともに疲れ果てたから辞めたいと思うのだが・・・という相談で、「身体を壊す前に辞めた方がいいでしょう」とアドバイス。
 今春卒業した女性は、文学部卒、パソコンの知識も技能も不十分な状態でソフトウェアの会社に採用された。それまではバイトばかりだったのでどんな仕事でもいいから就職したい、と応募したと言う。ところが4月入社後も具体的配属先が決まらないまま、自宅待機や社内研修があったり、「勉強しろ!」と言う以外に会社からの指示はない。他社へ応募・転職すると馘首になるし、失業するよりも大卒給料18万円を貰えているから現状のままでもいいのかなと思っているが、そのうちいつか辞めさせられるのではないかと不安であるとのこと。
 企業は新年度4月に情報システムの導入・見直しをするケースが多い。ソフトウェア会社は、受注申込の際、発注先へ提出する担当スタッフ名簿にまだ仕事もできない大量採用の新人の名前を加えて、表面上の受注体制を整える。受注できれば、主任格の社員は新人の仕事分もカバーする。そうしなければ依頼元の仕事が逃げる、あるいは自社の売り上げが伸びないからと、数倍の仕事が課せられ、過重労働を余儀なくされて、IT企業の中間管理職は20代後半から30代が一番、メンタル面でのトラブルに陥ることになる。
 毎年、新卒社員の1/3〜1/2の早期離職者を予め想定して50〜100名規模の大量採用を行なった後、過酷な選別競争、長時間労働・休日出勤、賃金・残業手当の不払い、組織的・個人的なパワハラなど労働基準法を無視した社員使い捨ての異常な状態が続けられている。異常化した職場環境に馴染めず、仕事に付いて行けない人間が自ら辞めれば、退職金は払わないで済ませる。
 他方、辞められると雇用調整助成金や支援金などが入ってこなくなる場合は、会社は社員の退職を引き延ばす。それが「辞めたくても辞めさせてくれない」背景となる。こうしたブラック企業以外にも、ダークともダーティとも言うべき企業が増えている。
 これは明らかに、労働行政の力不足であり、怠慢である。
 多くの人が就職斡旋窓口であるHWにその問題を訴えるが、HW(公共職業安定「所」)は警察署、労働基準監督署のような「署」でないから、企業の労基法違反に対する司法警察権を持っていない。だから、HWは労働基準監督署を紹介するけれども、労基署の基準監督官は東京都でも1500〜1600人しか存在しておらず、圧倒的に人手不足である。一人の監督官が担当企業を、例え一日5社ずつ巡回したとしても3〜4年はかかるという。
 相談窓口の多くは基準監督官がやっていない。労基署職員OBや社会保険労務士が対応している場合が多く、基準監督官のような職場の臨検、書類の提出要求、使用者への尋問などの監督・指導権限を有していないため問題解決につながらず、相談に行った人はガッカリして帰ってくる。これがブラック企業を蔓延らせる原因の一つにもなっている。
 そのほか、労働環境の企業間格差の拡大、求職者の希望条件と企業の求人条件のアンマッチが目立つようになり、先般、厚労省は「労基法違反の疑いが強い企業については、監督・指導していく」と発表した。今までは全く規制されず、社会保険未加入は当たり前、求人票に書かれる労働時間や賃金は実際と違って当たり前という中小・新興企業が横行していたが、ようやく監督官庁のメスが入れられるようになった。
 ブラック企業の共通点は、求人票と実際の労働条件とのアンマッチで、飲食サービス、流通サービス、不動産、IT産業、福祉・介護、医療関係に顕著に見られる。応募者が面接で実態を知って辞退したり、採用されても入社説明を聞いて辞退する。完全週休2日制だと説明されて入社した後に、先輩から「日曜日に休めればよい方だ」との話を聞いて労働相談に駆け込んでくる。私の相談者の何人かには全国労働弁護団の窓口や個人加盟ユニオンを紹介しているが、これにはシステム的な改革が必要だ。因みに、神奈川県では@合意のない労働条件、A長時間・過重労働、B賃金不払い残業、Cパワハラについて、労働相談窓口を案内するリーフレットを配布し、注意を喚起している。


企業人事にプロが消えた
 私は大学の就職担当者と企業回りして、企業の人事・採用担当者に学生の採用促進PRをするのだが、企業の人事・採用担当者にプロフェッショナルが減った。労基法を知らない、労働基本権?、ソレ何のことですか、という採用担当者がいるのである。80-90年代に、企業がリストラ人事を強行するときに、個々の社員の実情に理解を示す人事の専門家を外して、他人事≠ニしてドラスチックに社員の首を斬ることができるメンバーを人事担当者として置き換え、そのまま人事・採用部門を担当させているケースもあった。
 障がい者、特にメンタル系の相談が増えている。HWには障がい者支援コーナーがあり、専任スタッフが配置されており、身体障がい者と知的障がい者については支援体制が一定程度整っている。しかし、メンタル障がい者については、障がい者雇用率や労災認定の対象にようやく加えられるなど進展の動きが見られるものの、企業の受け入れ態勢の不備、担当スタッフの認識・理解不足、担当医師の職業知識不足など就職支援体制が未だ不十分な状況が続いている。
 ライフビジョン(キャリア形成、キャリア開発)への取り組みを高校、大学からだけでなく、小学、中学から実施する必要がある。生き方や働き方の問題としてキャリア・ライフビジョンを考える機会を増やしてほしい。
 皆さん、自分の労働組合を大事にしてください。
 組合があるかないかで、「働き方」や「働く環境」は雲泥の差が生じます。どんなに頼りない、活動しないで眠っている組合であっても(笑い)、組合があれば、あるいは自分の組合が動かなくても上部団体にはそれなりの力があります。
 就職・転職相談者は、組合のない労働環境の中で労基法違反に対しても甘受して働き続けざるを得ない悲哀や辛さを泣く泣く語られます。ひとりで何かできるわけではないので、個人加盟ユニオンや地域労働組合の存在がクローズアップされています。
 労働組合が、労働条件の改善、生活の維持・向上を図り、人として生きるための基本的人権を守り貫く取り組みをしていただくことを願ってやみません。(文責 編集部)







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