-帝国ホテルに働くということ立ち読み

ミネルヴァ書房
本体1,800円+税
4-6版/本文300頁
帝国ホテルにも組合があるんだ!組合活動がつまらなくなったと言われる昨今。しかし、それは本当なのだろうか?「組合員100人・100時間インタビュー」が明らかにしたことは、一流であろうとするホテル・パーソンたちの気風が創る組合の力だった。
みんなで作ってきた70年の運動史。その志とは。労使で築く労使対等への途とは。個人が変わる、組合も変わる。新しい労働組合の希望がここにある!


[ここがポイント]
◎年史の型にはまらず、帝国ホテルで働く一人ひとりに焦点を当てる。
◎写真も豊富に掲載。
◎ホテルの労働組合についての本は多くないため、歴史の証言としても価値ある1冊。



<目次>
はじめに
第一章 組合の力・一人ひとりの知恵と誇り    ――組合員100人・100時間インタビュー  1 バーテンダーの心理学
   バーテンダーはカウンターを愛す    女性バーテンダーの先駆けとして    詩人の感性    上等の社交場    「なりたい自分」になる  2 ガルガンチュワの窓から    接客が好き    忙しくても笑顔を    いい舞台、いい演技  3 オペレーターの机上に光る鏡    座っているのに「足が棒になる」    ホテルを代表する仕事    やりがいを大切にする  4 フロントマンの人間観察    一生ものの手帳ができた    「わたしが帝国ホテル」という自負  5 お客さまとのドラマ    フォアグラに火を通すな    「さすが」と言われる責任    サービスの精神とは    人生をどう生きるか  6 裏方の美学    緊張感を目立たせないように――セキュリティ部門    技術力を磨く――施設部門    「いま、ここで」という態度――管理部門その1    信念に基づいた真心で――管理部門その2  7 魅力的な客室生活を    ホスピタリティの極致    一日六〇〇件の電話    ホテル・パーソンとして働く意識  8 「おいしい」を支える仕事    自分の作品を創造する    仕事がわたしで、わたしが仕事経営的視点で見つめる    接客仕事の醍醐味    人を育てる怖さ    お客さまに背中を押された  9 仕事と人生に臨む哲学    就職までの苦闘    「野生の呼び声」    帝国ホテルで働いてよかった!    再生の喜び    地道に仕事をこなす大切さ    先輩の言葉はお客さまの言葉    日々の人生を楽しむ    自由時間の活動に手応えを持つ    先輩の思い 第二章 みんなで作ってきた七〇年の運動史  1 帝国ホテルと近代日本    林愛作の「わたしのホテル」    ライト館の建設    若者は戦地へ去った  2 敗戦からの出発    空襲は終わったが    マッカーサーの昼食会    産声を上げた帝国ホテル従業員組合    二つの不安「クビとメシ」  3 動き出した労働組合    昭和デモクラシーの出発    二・一ゼネストの大失敗    全日本ホテル従業員組合連合会の結成  4 帝国ホテル「独立」記念日    接収解除    サークル活動の活発化  5 高度経済成長の陰で    多発する労使紛争    戦後民主主義の曲がり角    民主的組合活動をめざして    宴のあとの組合潰し  6 一九六八年クリスマス・イヴの常任委員会    新本館の建設計画    学習会から生まれた言葉    もっと「職場に組合を」  7 帝国ホテル列車食堂株式会社    新館オープン直後の混乱    列車食堂分離反対闘争    組合は一つ    総発言・総学習運動とその評価  8 帝国ホテル労働組合の志    史上最高賃上げが意味したもの    連日連夜の討議ホテル労連の総評加盟    労使対等の階段を一段昇る  9 労使で築く労使対等への途    タワー館の建設計画    労使の共有財産    引き継がれるホテル・パーソンとしての姿勢    親身の活動  10 個人が変わる、組合が変わる    文化闘争という問題提起    自主性・連帯性・創造性    『ユニティ』創刊    わたしの幸福とはなにか    西ドイツDGB  11 労使共同宣言と労働協約協定    「国際的ベストホテル」を合言葉に    大阪進出と列車食堂からの撤退    二三年ぶりの労働協約締結  12 労使で知恵を絞り抜く――バブル崩壊    深刻な「企業」離れ    サービスの質が保たれた理由    組合の経営参加――職場に民主主義を  13 連帯の鍵を探す    無関心からの脱却    ツケを回さず始末をつける    人を中心に経営を考える    担う・関わる・参加する  14 新しい労働組合の未来に向かって    帝国ホテル労働組合の誇らしい気風    仕事の価値を人生の価値に    いかに社会的に生きるか    個性を磨く    いま、連帯を呼びかけるには    コミュニケーションなくして社会(組織)なし    経営参加、そして民主主義の推進を 参考文献 おわりに 索引