日々道楽

欧州の天地は複雑怪奇

 8月23日、香港の人たちが「人間の鎖」デモンストレーションをした。

 デモの企画は、1989年8月23日の「バルトの道」に由来する。

 ソ連からの独立をめざして「バルトの道」(人間の鎖)に参加した人はおよそ200万人、距離は600kmにわたった。その日、19時から15分間、3国の人間の鎖がつながった。

 バルト3国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の人たちが、1939年8月23日にドイツ(ナチ)とソ連が締結した「独ソ不可侵条約秘密議定書」50周年のデモンストレーションを展開した。

 秘密議定書が明らかになったのは、第2次世界大戦終了後である。ソ連によるバルト3国併合などを認め、欧州における独ソの勢力範囲を定めていた。

 共産主義大嫌いのヒトラーが、スターリンと手を結んだので世界中が目をみはった。裏取引があると見た。その通りであった。

 日本は、1936年9月25日に日独防共協定を調印していた。対ソ連封じ込めを狙ったのであるから、独ソ提携は驚天動地である。

 しかも、「独ソ不可侵条約」の時期はノモンハンで、ソ連・モンゴル軍と日本軍が交戦中であった。ノモンハン事件は1939年5月11日から9月15日である。日本軍が大敗を喫した。

 「独ソ不可侵条約」が締結された直後の8月28日、ドイツ・イタリアとの三国同盟を結ぼうとしていた平沼騏一郎内閣は「欧州の天地は複雑怪奇」という言葉を発して総辞職した。

 1939年9月3日、第二次世界大戦が開始する。ヒトラーは、1941年6月22日にソ連を攻める。ソ連は7月12日、イギリスと相互援助協定を結んで連合国側に与する。「独ソ不可侵条約」は空中分解というわけであった。

 香港のデモは、いろいろ勉強させてくれる。