論 考

イギリス的現実主義の選択?

 イギリス人が現実主義者であるという話をしばしば聞く。

 現実主義者の代表たる議会がメイ首相のBrexit案を432票対202票の大差で否決した。労働党はメイ首相の不信任案を提出、本日採決される。

 不信任案が可決されると、メイ首相は14日以内に信任決議を取らなければ25営業日後に総選挙をせねばならない。

 不信任案が否決されれば、メイ首相は超党派での協議をおこない代替案を1月21日に提出するとしている。しかし、そこまでの5日間で妙案が編み出されるとは考えにくい。

 つまり、方法論というプロセスは残っているが、3月29日という離脱予定日を考えると、現実的に余裕がない。

 EUはいまのメイ首相提出案が最終内容だとしている。

 EUのトゥスク大統領は「もし、この協定が不可能で、誰も合意なしBrexitを望んでいないとすれば、誰が、残る唯一前向きな解答の声を上げるか」とツイートした。

 トゥスク氏の示唆する唯一前向きな解答とは、Brexitを止めることだ。

 その反対の選択肢は無秩序離脱である。

 いつまでもBrexit案の合意ができない最大の理由は、Brexitの意思決定の根底が揺らいでいるのである。

 不信任案が否決された場合、労働党(コービン党首)が、再度の国民投票をしようという側に回れば、国民投票のやり直しもある。

 遠回りのようでもあるが、これが一番現実的ではないか、と私は思う。