論 考

プーチンの強い立場はあと4~5カ月

筆者 奥井禮喜(おくい・れいき)

 バルト海とフィンランド湾を望むエストニア(首都タリン)は、人口137万人である。1991年ソ連崩壊で独立を回復した。4人に1人がロシア系であるが、反ロ感情が強く、対ロ抑止力の維持に余念がない。対外情報庁の調査分析はほとんどロシアに対するものである。このほどロシン情報局長官がCNNの取材に応じ、独自のロシア分析を語った。要点は次の通り。

 プーチンはウクライナ戦争で、あと4~5カ月で強い立場からの交渉はできなくなる。社会的・経済的・軍事的圧力が増大するので、ウクライナ戦争において、時間はロシアに味方しない。

 その理由として、ロシア大統領府も戦況好転せずと分析している。この2年間、ロシア軍は1日平均70メートルのペースで前進しているが、毎日1000人が死傷している。いまは足踏み状態である。戦争要員の喪失に新規採用が追い付かない。米国ルビオ国務長官は、ロシアは毎月1.5万人~2万人が戦死しているとし、ウクライナはこの2月ロシアは35203人が戦死重傷したと発表している。死傷者の大半はドローンによる。

 要因補充のためのインセンティブ提供能力が減退している。ドンバス全域を奪取するにはロシア兵数十万人を追加しなければならない。ロシア石油産業へのウクライナの攻撃が奏功している。ロシアは経済成長率が0.4%の見込みである。国民は国内に戦火が及ぶと認識している。

 客観的なデータ分析から、強い立場は4~5カ月だと結論したようだ。ただし、プーチンは周囲の提言を聞くだろうか。聞かないだろう。独自の歴史観というか、ウクライナ戦争はプーチンのイデオロギーの戦争である。

 この分析以外にも、たしかに客観的にロシア軍の停滞が続いている。すでに、非戦闘員と戦闘員の区別など無視している。プーチンの戦争が思うように進んでいないために、破れかぶれの破壊殺戮行為に走っているようでもある。圧倒的に力の差があるウクライナだが、人々の闘争心は尽きない。もう少しロシアの欠陥が露呈すれば、人々の戦意はますます燃え上がりそうだ。戦争手段を次々に工夫するアイデアの源泉はロシアには存在しない。プーチンの地位が、国民の心からの支持でないことはプーチンがいちばんよく知っているだろう。プーチンは敗北している。