論 考

野党は、なりふり構わず「野合政権」めざせ

筆者 高井潔司(たかい・きよし)

 衆議院は9日、党首討論を終えて解散し、いよいよ総選挙に突入した。国会の審議は、石破首相の指名とそれを受けた代表質問、党首討論だけの国会となった。この間、自民党は裏金問題で先に役職禁止などの重い処分を受けた6人の議員について非公認の方針を明らかにし、さらに解散に合わせ6人の非公認を追加する方針を発表した。

 私が違和感をもつのは、代表質問における野党側の追及だ。朝日新聞によると、立憲民主党の野田佳彦代表は「(処分議員の)大半が公認される。党がお墨付き先を与えることに国民の理解が得られるのか」と批判したのである。他の野党も同様の批判を行なった。

 批判はごもっともである。だが裏金議員を公認しようとしまいと、それは自民党の勝手である。むしろ、どす黒い議員が沢山立候補してくれるほど、野党は選挙戦が有利となるのではないか。いや、それでもが自民党の候補者の方が当選してしまう可能性が高いから、やけくそで批判しているように見えてならない。

 政権交代をと、元首相が党首選挙に出馬し、その体制はできたものの、野党候補の一本化が一向に進まない。進まないどころか、一本を目指す素振りすら見えない。一本化を唱えても、とても実現する見通しがないからだろう。共産党と組もうとすれば、維新や国民民主が反発する。その逆も同じ。国民民主とさえ、一本化できない。

 これでは、裏金問題や統一教会問題で、政権交代の絶好のチャンスであるのに、みすみす見逃しの三振となりかねない。野党党首の皆さんの潔癖さはお見事というほかない。それでこそ万年野党の座を確保することができる。

 となれば、国民の側のストレスもどんどんたまり、先の都知事選挙のように、弱小政党や候補者が乱立し、選挙戦が日本の来るべき将来像を問う真剣勝負から外れ、またもや場外乱闘の争いに雪崩れ込む恐れが出てくる。

 唯一の望みは、裏金候補の落選が相次いで、自民党の内部で“内戦”が勃発し、政界の再編が起ることだろう。

 しかし、日本を敵と言ってはばからない韓国の統一教会の支持を受ける議員と決別もしない、できない自民党と公明党の与党連合のこのゆるさ、ずるさ、しぶとさから見て、政界の再編もなかなか期待できそうにない。ならば野合と呼ばれようと、なりふり構わぬ“野党連合”はできないものか?

 潔癖さゆえ、それができないというなら、せめて他の野党の政策を批判するより、統一教会や裏金問題を利用し、与党連合の割れ目をもっと追及し、与党連合を分解させる工作でも講じてみてはどうか。

 政権交代は民主主義の基本である。政権交代こそが、国民に目を向けた政治をもたらす。