論 考

軽薄・浅薄な候補者を落とせ

 今回の参議院議員選挙は、じっくりものを考える人が増えてほしい。党派性もさることながら、わが国政治の焦眉の急は、軽薄・浅薄・中身のない言葉を駆逐することだ。

 目標を掲げても、それがきちんとフォローされない。おいしそうな話に気をつけないと、ホラ話に乗せられて、結果が出たときは後の祭りだ。

 あまりにも安倍氏が酷かったから、地味な岸田氏が安心感を与えているが、議会の質疑で、言質を取られないようにぼかしまくっているのは、とても誠実とは言えない。

 「新しい資本主義」という言葉を持ち出したとき、議会では、言葉の意味をきちんと問いたださなかった。与野党問わず、とんでもないポカである。

 ざっと150年前のマルクス『資本論』以来、それに匹敵する雄渾な経済学の本は書かれていない。つまり、「新しい資本主義」というのは、世界の経済学を新天地にいざなうものである。

 いったい、岸田氏にそのような力量があろうか。大風呂敷であり、フェイクであり、ペテンである。

 この言葉1つで、真実と理性を尊重する政治であれば、岸田氏はアウトだ。

 政治において、修飾語は厳禁だ。ずばり、真実を語らねばならない。剛毅木訥仁に近しという孔子の言は、単純だが、きわめて大切だ。