論 考

変心・変身、嫌な前兆

 細田派が安倍派に代わる。予想してはいたが、今回の選挙で安倍政治に対して人々が批判したことなど問題ではないらしい。これだから、自民党の体質はどこまでも変わらずに続く。そして、どんどん劣化するだろう。

 野党は政策が弱いというが、自民党は、最大のシンクタンク、かつ行動隊である官僚システムを握っているのだから、与野党を単純に比較すること自体がまちがいである。

 民主主義が育たなければ、政治は官僚政治でしかない。

 第3極をめざして、維新と国民が共闘する。そもそも中道とは、言葉はそれなりだが、曖昧模糊とした観念的なものである。悪くいえば「どっちつかず」だ。第1極と第2極の中間というわけだが、まあ、第3極というよりも「第1極+X」の匂いが強い。

 玉木氏が、小たりといえども初心を貫くという気概はわかる。また、以前から主張しているように、「独」にこだわる限り、力が発揮できないのも当然であるから、大きくなろうとするのもわかる。

 ただし、問題は、くっつき方である。そもそも維新と中道という言葉は似つかわしくない。きっちりいえば自民別動隊だ。

 それを考えると、国民は非自民から親自民への心変わりをしたみたいである。感心しない。希望の党騒動の東京ではダメだったが、今度は大阪があるさ、というわけか。志というものは、簡単に安売りするものではない。

 わが国では、戦前も戦後も、本当に働く人たちの政党が育たない。誰もが真剣に沈思黙考せねばならない。