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アフターコロナの労働環境は…?

おかぼん

 緊急事態宣言解除後、通勤電車は少しずつ混み始めたとは言え、埼玉県のJR武蔵野線閑散区間においては、朝の出勤時でさえ空席も見受けられるし、その後乗り換える総武線は、快速線も緩行線もさすがに途中駅では空席はないが、以前のようにつり革を持てないというような混雑はなくなった。何より「お客様混雑による遅延」が激減した。

 たまたま、会社の都合で時差出勤することになり、ピークと言われる時間帯に通勤したときも、さすがにいつもの時間帯よりは混雑していたものの、あの殺気だった混雑ではなくなっていた。定年退職直前になって、ようやく人並みに扱われて通勤できるようになった、と言うのが正直な気持ちである。

 鉄道会社の経営は非常に苦しくなり、コロナが奇跡的に素早く終息しない限りは、今年度はどの会社も大幅な赤字になるようである。よく「お客様は神様です」と言われるが、こと通勤電車に限っては、運賃を払った神様をまるで貨車に荷物を積むように詰め込み、その一方で運賃をいただく乗務員は広々とした乗務員室を使用し、運転手は規則上なのだろうが座って運転している。神様も地に落ちたものである。

 ところで大幅に赤字になると言っても、運賃収入の落ち込みは定期外が大きく、定期の落ち込みは電車が空いている割には小さいという。定期外の例で言えば、6月に名古屋からの帰路、上りの指定席を前日に申し込んだときは、空席状況を確認することもなく、2人掛け、3人掛け、窓側通路側、何れの席でも用意できます、と即答された。実際乗った車内はかなりの空席があった。時差出勤の際、眼前を成田エキスプレスが通過していったが、空気を運んでいるようで乗客は殆ど見られなかった。

 定期の収入がそれほど落ち込んでいない、というのは、かなりの企業がまだ在宅勤務などのテレワークを一時的なものと捉え、テレワークであってもそのまま定期券を支給し続けているからである。だから電車の混雑率の低下ほど運賃収入が落ち込んでいないのである。

 しかし、である。テレワークが長引けば長引くほど、現在の臨時の勤務形態が常態化し、そのときは通勤定期の運賃収入の低下となって現れるのは火を見るより明らかである。1か月通勤定期の割引率は、私の場合、月に16日程度通勤しないと元が取れない。月に20日勤務とすれば、週4日程度は出社しないと元は取れない、ということである。

 すでに通勤手当を廃止した会社も出てきたとニュースで見たが、いずれ各社その方向に向かうことは間違いない。そのとき、人が動かなくなることで、個人消費はより落ち込み、それに伴う景気悪化により、労働環境のますますの悪化が見込まれる。労使は相携えて、そのときに備えて万全の対策を打たなければならない。