論 考

日本はこのままでいいのか!

 本日の読売社説は、2019回顧・日本として「新しい時代の到来を実感した1年」と書くのであるが、元号が代わっただけで新しい時代の到来を云々するのはとても頼りない、軽薄である。

 内外に社会・経済・政治の問題が山積して、一向に出口らしきものが見えてこないばかりか、悲観的に見れば、ますます事態は悪化している。もうすぐ発表される世界終末時計の時刻がさらに悪化するであろう。

 もう少し本気で基本的な議論をしなければならない。たとえば防衛費は、膨張の一途で、社会保障はつぎはぎだらけの人気取り政策に終始している。

 この2つだけに絞っても、それぞれを別個に論議するのではなく、この国の在り方をどうするのか、どのような国作りに向けて、進もうとしているのか、いちばん大本の基本を論議しなくてはならない。

 人間はまさに慣性の法則で流されやすい。大所高所の論議がなければなおさら流れに掉さして流れていくだけである。

 たとえば、社会保障を論ずる場合、直ちに制度の持続性と必要な給付論に入るが、社会保障を立派に育てることは、なによりも国の防衛に直結するのであり、社会福祉が拡大充実することは決して不都合ではない。

 わたしが安倍首相はじめ政府与党を批判するのは、目先の権力維持ばかりに焦点を当てていて、国民が本当に政治に関心をもつための政治的信頼性を高めようとしていないからだ。

 いずれ遠からず安倍氏の政治は終わるが、積み残された事柄を少し考えてみれば、いかにこの国が危なくなっているか、誰にもわかるはずだ。読売さんがバラ色方向の新時代を予測するのであれば大間違い。まさか、わかっていて人心を惑わすのではなかろうから、ならば、予測する新時代というのは、大変ですよというパロディなんだろうか。